議案第14号 平成31年度一般会計予算に対する反対討論

 

新年度予算は、市民の強い要望であった児童館建設をはじめ、八街中・南中体育館の耐震化や第一庁舎1階・障がい者トイレの全面改修、中央グランドブロック塀の安全対策に向けた設計業務、スクールソーシャルワーカーの指導時間の拡充など、予算確保に対し高く評価し賛成するものですが、新年度も国とのかかわりで地方財政が歪められた中での予算編成となっており、到底認められません。

1点目には、市民の7割が反対している消費税増税に係る予算が計上されていることです。

消費税の増税にあたって、安倍政権が消費の落ち込みに「十二分の対策」をとるとした施策は、キャッシュレス決済の「ポイント還元」「プレミアム付き」商品券の発行、「軽減」につながらない複数税率の導入や補助金など、こうした増税対策費は約10兆円。消費税2%増税で5兆6千億円の税収に対し、4兆円もの赤字をだすというものです。

 消費税導入から31年。「社会保障のため」と導入・増税されてきましたが、消費税増税の累計は397兆円となり、大企業向け法人3税の減収は累計275兆円。大企業減税の穴埋めにされてきました。一方、安倍政権の7年間で社会保障費は4兆3000億円削減され、年金削減額は2兆円に達しています。

 31年度の75歳以上の後期高齢者医療では保険料の「軽減特例」を、消費税増税と同時に廃止し、年金収入80万円以下の高齢者は平均月380円の負担が月1130円へ3倍もの負担増です。消費税増税は「社会保障のため」の口実に過ぎないことは明白です。

消費税が上がるたびに景気が冷え込み、くらしは厳しくなっています。今の経済状況は安倍首相が過去2回、消費税増税の延期を決定した時期に比べても景気が悪化傾向にあり、内閣府は先日、景気動向指数の基調判断を引き下げています。このような時、消費税を増税すれば市民・中小商業者の暮らしと営業に取り返しのつかない打撃となることは明らかです。

本市にとっても、増税に伴い、使用料・手数料などの引き上げで新たな市民負担強いることになり、31年度は工事・物件費で約6000万程度の負担増としていますが、32年度以降はずっしりと負担がのしかかってきます。

もともと低所得者ほど負担が重い消費税の増税を、深刻な消費不況が続く中で強行するのは無謀です。百害あって一利なしの増税は中止すべきです。

2点目には地方交付税の問題です。

新年度の地方交付税の見込みは、前年度比6.4%増の36億4千万円となったものの、一般財源は臨時対策債・市税と合わせて118億6千万円。29年度決算より2000万円の増にとどまっています。

地方交付税の代替え措置である臨時対策債を平成28年度より抑制してきていることは、地方財政の健全化にむけた第一歩ですが、市債の約6割は臨債であり、解消ためには地方交付税の法定率の引き上げを求めることが必要です。同時にトップランナー方式による地方交付税の算定は、地方交付税の在り方を大きく歪めていくものであり、国に対し地方の財源を保障するとともに自治体間の財政調整機能をはたすという本来の地方交付税の在り方を求めていくことが必要です。

3点目には、地方創生事業は5年目を迎え、安倍内閣は第1期総合戦略の総仕上げ

とあわせて次のステージに向け時期の総合戦略の策定の準備をするとしていますが、交付金は前年度と同額の66万9千円にとどまっています。

27年度からの本市の地方創生事業は総額6700万円。活用できない状況が続いています。事業費の配分については成果指標によるものではなく、必要度による配分を強く国による求めることが必要です。

4点目に八ッ場ダムの問題です。新年度の八ッ場ダム建設への出資金は1880万円。この間の出資金総額は2億5100万円となり、市民の大切な税金が投入されてきました。ダムは31年度完成となり、取水のために広域化が検討されていますが、市の井戸は廃止され、八ッ場ダムだけではなくや霞ヶ浦導水の水を買わされることになり、水道料金への影響が心配されます。国・県の言うままになる水道広域化には、きっぱりと反対すべきです。

 

市民のくらしは年金削減・介護制度の改悪・後期高齢者保険料の負担増、そこに消費税増税では、たまったものではありません。

地方自治体に求められているのは、自治体本来の役割である「住民福祉の機関」、福祉の増進」の立場で、貧困と格差」に正面から向き合い、市民に寄り添う政策が必要です。

新年度編成にあたり、税負担の公共性の観点から課税客体の的確な捕捉や債権確保に努め、さらなる収納率の向上に注力するとしています。32年度から導入するペイジー・クレジット収納のための収納システム改修・導入業務に3200万円を計上しました。しかし、その収納アップ効果はわずか0.1% であり、31年度の市税滞納繰越分2億2000万円で換算すればわずか22万円です。とんでもない浪費です。

一方、納税相談には、知人などの同席を認めず、生活実態を無視した差押えが行われています。国税徴収法の改正時に「自力執行権」が議論され、国民の生活を不当に侵害しないということが大前提となって改正された経緯があります。職員の高いモラルが求められます。

課税標準額200万円以下の世帯が73.3%占めている本市の状況の中で、滞納対策に求められるのは、滞納の支払いをしながらも生活を立て直していける方法を一緒に考える丁寧な納税相談です。このことが滞納整理の一番の近道です。

2点目に人口減が続く中、地域経済活性化を図る予算を重視すべきです。

新年度の地域経済の土台となる農林水産費・商工費は前年度比3.6%の減となっています。基幹産業の農業を生かし、市独自の農産物の加工など産業振興により雇用の確保につなげ、元気なまちづくりの予算が必要です。

また、住宅リフォーム助成制度は新年度も500万円の助成額が計上されていますが、あくまでも国の助成額に合わせて支出しているため、この間、多くが執行残となっています。1次波及効果とともに、雇用や家計への波及など二次波及効果は、投入した補助額の23.84倍にも上るということを京都大学の研究グループが明らかにしています。市独自の助成も導入し、地域経済活性化の大きな柱の一つにしっかり据えていくことを求めます。

3点目に安全・安心のまちづくりです。

平成27年に県が発表した地震被害報告書は、県内において「震度6強の強い揺れが地域を問わず発生する可能性があり、予防的な対策が必要」と警告しています。国の中央防災会議も東北地方太平洋沖地震の後、「今後の想定地震はあらゆる可能性を考慮し最大クラスを検討すべき」としています。この警告・指摘にもとづいて八街市の最大地震は、市直下を震源とし震度6強に見直し、最大の災害に備え未然に防災を強めるとりくみが必要です。

4点目には、弱者が大切にされるまちづくりです。弱い立場の市民を置き去りにしている市政運営の改善です。滞納する市民への市営住宅の入居拒否を改め、希望する市民、誰もが入居できるよう住民サービスに徹することを求めます。

また、敬老会事業は年々参加者が減り、参加率2割となり元気で会場に行ける一部の高齢者だけを祝う事業となっています。不平等な事業をいつまで続けるのかと厳しい批判の声があがっています。早急にすべての高齢者を対象にした事業への見直しが必要です。

合わせて、高齢者福祉タクシーの見直しも切実です。現在の高齢者外出支援タク

シー制度は市街地から離れた地域や南地域の市民は、ほとんど利用できず、病院や買い物に行けないと悲鳴があがっています。一部市民にとっては大変便利となりましたが、利用できない市民を置き去りにしたタクシー制度であってはなりません。市内どこの地域に住んでいても安心して暮らせるよう地方自治体の役割をしっかりと果していくことを求めます。

第5に教育・子育て支援の充実とともに、子どもの貧困対策は喫緊の課題です。 生活が困難な家庭が増えている中で、本市の就学援助の受給率は中学校7.9%、小学校7.2%と若干増加したものの、全国平均の半分程度です。制度の拡充とともに、必要とする家庭が利用しやすくすることが必要です。

また、学校給食費の滞納額は7214万円、現年度滞納児童・生徒は342人。過年度は2178人となっており、年々増加の傾向は見過ごすことはできません。中学生の未納率が高くなっているのは、文部科学省の平成26 年度子どもの学習費調査で明らかなように、学校関係で必要な費用は小学生年間約10万円に対して、中学生は年間約17 万円となっており、小学生に比べて、制服、クラブ活動費、修学旅行などが高額になっています。義務教育は無償とされていますが、給食費以外にも多くの自己負担となっています。こうした負担を軽減する対策が必要です。給食費の軽減は子どもたちの豊かな成長、貧困と格差を解消する大切な施策であり導入を求めます。

児童・生徒の不登校・長欠は依然として多い状況です。一人ひとりがかけがえのない存在としてありのままに認められ、子どもの成長や発達にそって丁寧に対応できる人的確保が必要です。

最後に高校生までの子ども医療費無料化拡充について、昨年12月議会では「システム改修・医者への協力依頼・対象者への周知など時間が必要と」し、なるべく早く実施するとの答弁でしたが、手続きにどれだけかかるのか新年度予算への計上はありません。早急の実施を求めます。

以上の立場から反対するものです。