平成30年度八街市一般会計歳入歳出決算認定に対する反対討論

 

 

 

 平成30年度の予算執行にあたり、小中学校エアコン整備事業、長年お母さん方の要望だった児童館の建設、児童クラブの整備など次代を担う子どもたちへの予算をはじめ、住民課への夜間窓口の設置、手話通訳・磁器ループ・講演会等への筆耕翻訳者配置、榎戸駅整備事業など市民要望の実現に評価するものです。

 一方で、市民から「八街市はお金がないから我慢をするしかない」との声もきかれます。しかし、不用額が前年度より1億6000万円増の8億9000万円となり、歳出総額の4.15%を占めています。不用額となった主なものは、扶助費・普通建設事業の入札の執行残です。市民にあきらめさせる市政運営ではなく、速やかな予算補正で、住民のくらしに切実な要求課題の実現のために活用されるべきです。

 

 八街市の財政力指数は0.66、経常収支比率95.5%と市財政は一層の硬直化が進んでいますが、市民の「もっと住みよいまちに」の声に応えるまちづくりをすすめるにあたって、財源確保の取り組みが必要です。

そのためには、財源確保の1点目として、国にたいし地方の財源を保障するよう求めることです。

 地方交付税制度は、すべての地方自治体が標準的な行政サービスを行うために必要な財源を保障し調整する制度です。ところが、政府はH30年度も、地方交付税制度の目的・精神を歪めるトップランナー方式の導入、また、交付税算定の一つである「まちひとしごと創生事業費」のなかに、自治体の「必要度」に加え、とりくみの「成果」を導入・拡充するという条件不利自治体が一層不利となる制度を取り入れています。本市にとっても重要な財源が年々削減されています。

 国は、地方自治体が地方自治法に定められた「住民福祉の増進を図る」機関としての役割が果たせるよう保障する役割があります。財政需要が増すばかりの地方自治体の実情に見合う一般財源総額を拡充するよう政府にたいし強く求めるべきです。

 また、すでに国・県への補助金の活用で事業を実施していますが、今後もこの取り組みを強化するとともに、八ッ場ダム完成に伴い自治体への支援を求ることが必要です。

八ッ場ダムの事業費は当初の2.5倍以上にまで肥大化し、その負担を関係自治体に負わせてきました。30年度の本市の出資金は2080万円となっています。水余りが指摘される中で進めてきた不要不急の大型公共事業は、31年度完成の見込みです。人口減少のもとで、水余り問題が現実的となり、さらには料金高騰に直面することとなり、市民の不安がつのっています。維持管理や高い水道料金で自治体・市民を苦しめることになります。国にたいし、水道料金への助成・補助等を求めていくことは喫緊の課題です。

 

財源確保の2点目には、八街市の基幹産業であるは農業・商工業の活性化をさせることです。30年度の農林水産費は、前年度比23.39%減で2億5200万円、商工費は1.13%減の1億2300万円で両方あわせて3億7500万円、農林水産費の歳出総額は1.2%となっています。隣の富里市では2.8%、東金市は4.4%s本市の約2倍~4倍の予算が確保されています。後継者の育成、農業経営支援とともに6次産業化による加工、さらに流通・販売による活性化、中小企業・小規模事業者の振興、地域経済波及効果の高い住宅リフォーム助成制度へのさらなる支援、自然・再生可能エネルギーの地産地消など、あらゆる角度からの地域活性化策に全力で取り組み、税収を上げていくことが必要です。

 こうした財源確保とともに地方自治の精神を貫き、自治体本来のあり方である「市民の暮らしを守る」という立場にたった市政運営が求められます。

 30年度億の事業が取り組まれてきましたが、次の5点について早期に改善を求めるものです。

 

1点目に市税等の徴収のあり方です。

 30年度は、新たに自動音声催告システムを導入。また、市税等徴収指導員を委嘱するとともに、捜索・差押え・公売の強化がすすめられ、預金・給与・生命保険など864件の差し押さえとなり、5年前の2.3倍にもなっています。給与・預金が79%占め、給料が差し押さえられたため、会社に居づらくなり退職せざるを得なくなった市民もいます。失業すれば生活もできず、税金も払えず市民の暮らしを圧迫しています。

 また、捜索では差し押さえるべき財産が発見できなかった割合は29年度には80%、30年度では83%と高くなっています。捜索に至る過程の接触・対面指導のあり方が問われます。圧倒的多数の滞納者は、日々のくらしが大変な状況です。住民と密に接する事ができる末端の自治体だからこそ、繰り返しの話し合いが必要であり、行き過ぎた捜索であり方を改善すべきです。

 資力があり担税力がありながら納めない滞納者には厳しい態度で接することは当然ですが、「滞納者は悪質」とする対応は市民の生活実態を無視したものといわざるを得ません。

市税等の税収をアップさせるためには、国いいなりの差し押さえなどの収納対策の強化を進めるのではなく、住民の生活実態をよく聞き、親身に対応する相談・収納活動に転換することを求めます。

 

2点目には 公共交通の問題です。

 30年度の事業成果では、「ふれあいバスの再編事業を含む、実施計画の掲載事業について円滑に進行している」と評価しています。

 しかし、28年度5コースの利用者は10万5907人でしたが、30年度の4コースでは85245人となり、29年度の再編で、コースの廃止により新たな空白地を生み出し、市民に不便を強いています。これでは公共交通の役割は果たせません。

 また、高齢者を対象に実施している高齢者外出支援タクシー助成制度は、500円の助

成がありますが、市内からはなれて生活する方、年金暮らしの方々から、「利用できない」という悲鳴や、「これでは八街に住めない」という声が上がっています。

 どこの地域に住んでいても同じサービスが受けられるようにすることが自治体の仕事です。最初から地域格差が生じることがわかっていた高齢者外出支援タクシーは早期に見直し、市民の切実な願いである誰もが安い料金で、玄関先から利用できる乗合タクシーの一日も早い実現とともに、ふれあいバスの特性を生かした公共交通機関としての役割を果たせる取り組みを求めます。

 

3点目に教育・子どもの貧困の問題です。

 30年度の本市の不登校となっている中学生は、前年度より増加し全国平均の2

倍、7.76%となっています。スクールカウンセラー・ソーシャルワーカー等専門の相談員を増員するなど教育相談体制を充実し、早期の取り組みが必要です。

 総務省は子ども7人に1人、ひとり親家庭では2人に1人が相対的貧困状況にあるとしていますが、本市ではその実態調査もされないままとなっており、その対策は喫緊の課題です。

貧困対策のひとつに、就学援助制度がありますが、その支給状況は全国平均15%の約半分にとどまり、その上、年度末の支払いでは就学援助制度の本来の役割は果たせません。家庭の生活実態を把握し、すばやい対応が教育委員会・学校に求められています。

 また、給食費の滞納状況は年々増加しており、30年度の滞納者数は約2500人、滞納総額は7000万円にもなっています。文科省は29年12月に28年度の学習費調査の結果、小学生一人あたり32万2000円、中学生47万9000円と発表しています。貧困にあえぐ児童・生徒への支援の拡充や年々増加する給食費の滞納を放置することなく、支援対策を強化することを求めます。

 

4点目に住宅政策です。

 入居募集をしている長谷・九十九団地・朝陽団地の入居率は77%と低迷しています。公営住宅は、健康で文化的な生活を営むための住宅を整備し、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸することにより、市民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的としています。

 この間、滞納世帯への入居拒否をしてきましたが、希望する市民の誰もが利用できるよう利用条件の緩和で、市民のために住宅提供をすすめるべきです。

 また、高齢者が多く住む笹引き・交進・朝陽団地の老朽化がすすみ住環境は劣悪な状況です。30年の耐用年数をはるかに超え、榎戸61年、笹引き54年、交進51年、朝陽47年が経過しており危険な状態であり、居住させること自体問題です。15号台風では屋根瓦の破損等で雨漏りが発生、また25日の大雨では交進住宅では床上浸水となり、くみ取り式のトイレはあふれ環境悪化のもとでの生活を強いられています。

 市は長谷・九十九団地の入居は可能としていますが、高齢者がエレベーターもなく階段のみの住宅に転居できるはずがありません。住まいの不安をなくし、安心できる居住環境をつくることが必要です。今後、高齢化が進む中で低廉・低層の高齢者住宅の建設を求めます。

 

5点目には、地域防災計画の見直しで防災対策を強化する問題です。

 平成30年4月、市は防災アセスメントで『本市で最大規模の地震が発生した場合,全域で震度6強の揺れが想定されている』と公表しました。

 しかし、638万円で修正を委託した地域防災計画の内容は、八街市より遠い千葉県北西部直下地震を想定し、ほぼ全域震度6弱としました。6弱と6強では全壊倒壊の被害で比較すると約13倍もの差があります。これで市民の生命・安全を守ることができるのか。防災行政にゆるみを生じさせるのではないかと疑問をもたざるを得ません。 

印西市、習志野市、千葉市、東金市は市独自に、直下地震を算定し防災計画を作成しています。早急に震度6強に対応する防災計画となるよう見直し、市民の安全を守る減災対策に取りくむことを求めます。

先の15号・19号台風、25日の大雨による大きな被害を受けた本市では、多くの教訓を得ました。緊急時の確実な伝達法方の確立、高齢者・障害者の避難所の確保とともに、住民の知恵と力で地域防災計画の必要な見直しをすすめ、それぞれの地域にあった防災対策の強化が必要です。

 29年度から新たに設置された市民協働推進課を中心に、自分たちのまちは自分たちでつくり上げていく絶好の機会となります。こうしたまちづくりへの取り組みを求めるものです。

 

 以上、改善点を指摘し、平成30年度一般会計歳入歳出認定にたいし反対するものです。